遺産の行方

若い夫に先立たれた未亡人だと、生命保険がかなりおりて裕福な暮らしができるだろうと思う方もいるかと思います。そういう方も実際いるのでしょうが、我が家は残念ながら(?)その類いではありませんでした。

というのも、フランスでは日本のような生命保険がメジャーではありません。主にAssurance Vie(直訳すると生命保険)と呼ばれる元本保証型の貯蓄保険(保険というよりも利率のいい貯蓄口座)だけに入っている場合が多いと思います。日本でいう生命保険はAssurance Décés(死亡保険)といい、入っている人はあまり多くないイメージです。

夫も例に漏れず死亡保険には入っていませんでした。そのため、会社の保険からおりた分のみで、日本円にしても数百万にみたいない額です(「数」の部分は5以下です)。もちろん無いよりはマシですが。

ただ、これは子どもの将来のために手をつけずに取っておこうと思います。夫から息子へのプレゼントですので。

また、他にも息子へのプレゼントがあります。実はフランスでは生前に遺言状を書いておかないと、夫婦どちらかが死亡した場合、遺産を受け取るのは配偶者ではなく子どもになるのです(結婚後に購入したものについては子どもと半々になる)。

実は、夫は病気が分かってから遺言状を書こうと話していたのですが、まるで死期が近いみたいで嫌だね・・・などと話していてすぐに行動しませんでした。そのうち出掛けられない状態となり。。。

というわけで、アパートや車、バイク、銀行口座に入っているお金、遺族年金などすべてが2歳の息子のものとなるのです(!)。もちろん未成年ですので私のサインが必要なわけですが。例えば既に子どもも30歳を過ぎていて親子仲が悪くて遺言状無しに父親が死んだとなった場合、子どもは手放しで喜んでさっさと母親と縁を切るのでしょうね。

国が異なればこういうシステムも異なるのは当たり前なのでしょうが、こちらは夫婦であっても個人という考えが根本にあるんだろうな、と感じます。「婚前契約(結婚する前に離婚後の財産分与をどうするか、死別した場合は・・・などを決める契約)」を交わすカップルが多いことからもそういう要素が見て取れます。

こういう仕組みを理解できる年になったとき、息子は

「こんなものいらないからパパが生きていてくれれば良かったのに!」

と言うのでしょうかね・・・。

今はまだ誰のものでもない状態で、公証人(Notaire)からの書類待ちです。平均でも半年くらいはかかるとのこと。

 

 

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