あなたも経験したこと

先日書いた、下の下の階に住むおじいさんが亡くなったお話(ここをクリックするとその記事に飛びます)。

あれから奥さんに会っていなかったのですが、昨日息子のお昼のお迎えの時、アパートに入ったら偶然会いました。今まではいつも身なりをきちんとしている奥さんでしたが、髪型もお化粧も表情も話し方も、何から何まで悲しみに包まれていて・・・会った瞬間はうまく言葉が出てこず。

ゴミを捨てようとしていたのでお手伝いしながら

「その後、どうですか?」

と聞いてみると、

「大丈夫、大丈夫よ。ありがとう。」

と言ったあと

「あなたはもっと小さかったこの子(息子)を抱えて・・・あなたもこの気持ちを経験したのね」

と涙ぐんでしまいました。私はまた奥さんを抱きしめることしかできませんでしたが、

「あの、もしも話したいことやお手伝いが必要なことがあったら遠慮なく言ってくださいね。今、私は仕事をしていないので、この子の送り迎えの他は時間がありますから。」

と言うと

「本当にありがとう。さ、雨が止んでいるうちに買い物に行かなくちゃ!ママの言うことをちゃんと聞くのよ!」

と涙目ながらも笑顔で息子に言ってくれて、出かけて行きました。

***

おじいさんを亡くしてから、まだ3週間。

夫が亡くなって3週間の私ってどんなだったかな?と思い返しながらカレンダーをみたら、日本から駆けつけてくれた弟が帰った後。母は残ってくれていましたが、息子が大好きな弟がいなくなってしまって、すごく心細かったなー、と。

その頃の息子は(ここで何度も書いていますが)、4日間私と離れ離れになったことがトラウマで、家にいたくない、ベビーカーから降りたくない、一度外に出たら家に帰りたくない、義実家の近くは大泣きで拒否、と本当に大変な時期でした・・・。

私の場合、夫の初めての月命日が来る前に、母方の祖母が危篤で日本に一時帰国していたので、その点はタイミングが良かったと思います。日本にいたから頭の切り替えをできたし、息子も気分転換になったので。ただ、戻ってきた後の反動はひどかったですが。

と、自分の話になってしまいましたが・・・

***

おじいさんの奥さんには「あなたもこの気持ちを経験したのね」と言われましたが、私は彼女のように40年も50年も(何年かはわかりませんが)寄り添って生きて子育てや孫を見てきたわけではありません。だから「まったく同じ」ではないです。でも、配偶者との死別の悲しみを経験をした者として、奥さんが吐き出したい気持ちがあれば喜んで聴きたいなと思いました(好奇心や偽善的な考えではなく)。

私の場合は幼い息子、これからの未来がある息子が生きる糧となりましたが(なっていますが)、彼女はそうじゃない。きっと「自分はあと何年生きるんだろうか」とか、何かあった時の不安も大きいだろうし、付き合いを含めて7年ちょっとの私たちよりも何倍も一緒にいた人を亡くした悲しみは深いはず。

もちろん私も死別シングルマザーとして、経済的なことや健康のことなど色々な不安はありますし、悲しみの深さは一緒にいた年数ではないとは思うんですけど・・・。

奥さんが捨てたゴミの中にワインの瓶があるのを見て、泣きながらワインを飲んでいた当時の自分を思い出し胸がキュン(恋ではない)となりました。    

 

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