相手の立場になって考えること
日本で生まれ育った人にとってみれば
「相手の立場になって考えること」
って当たり前だと思うのですが(今の教育はどうなのかわかりませんけど)、こちらの人は滅多にそんな考え方をしません。
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夫の両親宅に寄った朝のこと。夫の母が
「末っ子のお嫁さん、かわいそうなのよ。」
と始まりました。
何事かと思って聞いていたら、職場(料理人です)で一番最後まで残らなければいけなくて、掃除も片付けも全部しなければならない、のがかわいそうとのこと。
そこには前置きがあって、職場の他の料理人はランチとディナーの両方で働いている人たちです。夫の弟の奥さんは、小さい子供がいるから16時以降しか働けません!と言ってディナーのみ働いているのです。
思わず夫の母に
「え、何がかわいそうなの?事情だけを考えたら(何か悪口や愚痴を言われている云々があるかどうかは分からないため)、最後まで残るのは当たり前だと思うけど。」
と言ったら、まるで血も涙も無い人間のように驚かれました(笑)
「だって赤ちゃんがいるのよ?」
「だって赤ちゃんは弟がみているでしょう。」
「自分たちが使った分くらい、自分たちが片付けて帰るのが普通じゃないの?」
「昼も働いているってことは、翌朝9時か9時半には職場にまた戻る人たち。夕方出勤のみの人に任せて全部放って帰るのは理解できる。」
といっても腑に落ちない顔をされたので、
「じゃあ、あなたの末息子が昼も夜も働いている立場だと想像して。その職場に、赤ちゃんがまだ小さいから夜しか働けないっていう女性が働き始めたとしましょう。一緒の時間に帰るのっておかしくない?末息子が、彼女に片付けとか全部残して帰っているって報告されたら、どう思う??」
「は!本当ね・・・息子が逆の立場だったら、さっさと帰っちゃいなさいって言うわ。」
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ここまで説明しないとわかってもらえないことにも驚かなくなりました。むしろ、今回夫の母に分かってもらえて良かったくらいに思います。こちらの人たちは基本的にそういう考えの人たちが多いので(夫もそうでした)。もちろん、夫の弟やその奥さんにまで上のようなことを言うつもりはありません。
自分が大変な状況にいる時って、どうしても周りが見えなくなって「自分だけが大変」と思ってしまいます。そういう私も同じです。でも、夫の弟の奥さんと同じ立場だったら「文句は言えないなー」と。
「自分の条件を飲んでもらっているんだから」
と考えるのが日本人的で、フランス人だと
「この条件で雇ったのは雇い主。嫌なら他の人を雇えば良い。みんなの片付け分までやれなんて言われていない。」
となるようです。
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息子には日本人的考えも身につけていて欲しいので、どうしても「相手の立場になって考えること」を教えてしまいがちです。ですが、こちらで生きていくには、日本人から見たら「自己中心的」なフランス的思考も身につけさせないと、息子がバカを見ることになってしまうな・・・と思うのです。
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