安楽死と自殺ほう助 2
先日の続きです。
フランスでは「安楽死」も「自殺ほう助」も認められていません。そんな中ニュースになっているのが、Vincent Lambertさんの件。
彼は、父Pierreと母Vivianeの間に生まれた42歳の男性で、精神科の看護師として働いていた2008年に交通事故に遭い、脳に損傷を負って動けなくなりベッドで寝たきりの状態になりました。それが10年以上も続いているのです。ただ、植物人間と聞いて想像するような、機械に繋がれて呼吸をしているような状態ではなく、ベッドから動けない、意思疎通ができない、飲み食いもできない、寝ているだけの状態なのです。
Vincentの奥さんを初めとする8名が「安楽死」を望んでおり、Vincentの両親と実の妹、異父兄弟のうちの1名が安楽死に反対していて、この対立が裁判沙汰になっています。
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余談ですが、PierreとVivianeはダブル不倫(!)で、その間に生まれた初めての子がVincentなのです。父側には男女1人ずつ、母側には男3人がいたのです!父は産婦人科医、母はその秘書として働いていて、Vincentの下には妹二人と弟1人がおり、4人が生まれてから離婚して二人が結婚したとのこと。
敬虔なクリスチャンだから中絶には反対!という立場で産婦人科医時代は中絶を行わなかったらしいですが、敬虔なクリスチャンは不倫してもいいのか?というのがとりあえずの疑問。そしてキリスト教では自殺を認めていないので、安楽死も自殺の一つととらえて、敬虔なクリスチャンだから安楽死は絶対反対らしいです。
「親だから」意思疎通はできなくとも呼吸をして生きている息子を殺すようなことをしたくない気持ちはわかります。でも親は90歳と74歳。どちらも老い先短いわけで、こんな状態の息子を残して逆に心配はないのだろうか?とも思ってしまいます。
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それにしても、本人と意思疎通ができないから「生きたいか、死にたいか」を聞けないのが本当にもどかしい。先日の記事の番組で出てきた男性の1人は、原因は失念しましたが(別な男性同様の筋萎縮性側索硬化症だったかな?)車椅子で体も動かすことができなくなり、でも意思の疎通はまばたきでできる状態だったとのこと。その時に彼の奥さんは
「生前、そういう状態になることは望んでいなかったので、彼なら安楽死を選ぶだろう」
と思って、意見を聞いてみたそうなのです。すると、意外なことに
「それでも生きたい」
との答え(まぶたを閉じて答えた)が!
やはり、いくら健康な時に最期を想像して答えを出していたとしても、いざその状況になってみないと本当の気持ちって分からないなって思いました。
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私は、夫の最期に
「例え植物人間になってもいいから生きて欲しい!」
と本気で思っていました。夫はあの時逝きたがっていたし、なんてひどいエゴだったんだろう・・・と、このニュースを見て思い出して自己嫌悪に陥りました。
Vincent Lambertさんの話は本当に難しいです。「早くひと思いに逝かせてくれ」って思っているかもしれないし「勝手に殺さないでくれ」って思っているかもしれない。それよりも、何も考えられない状況かもしれない。。。医療費はもちろん、裁判費用だってかさむわけですからね。
ダブル不倫の末にできた第一子がこんなことになるなんて、何だかカルマがあるように思えてなりません。
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