言霊
日本人であれば、「言霊」は説明する必要がないかと思いますが、日本では古来から「言葉には不思議な力が宿る」と考えられています(いました、の方がいいのでしょうか?)。
みなさんは言霊って信じますか?私は信じています。
我が家は、産まれたらお宮参り、小さい頃はクリスマスにケーキを食べたりプレゼントをもらい、もちろん七五三もして、お葬式はお寺、という典型的な日本の家族です。特にどの宗教を信じているということはなく、かといって何も信じていないわけではなく、何か目に見えないものは存在する、と幼い頃から思っていました。
母親は常にポジティブな人間で、そんな人に育てられたおかげで逆境でも上を向いて生きることを見て学びました。成長するにつれ、周りには
「辛い、疲れた、楽しくない」
とネガティブな言葉を発する人が多いことに、とても驚いたのを今でも覚えています。特に就職してからは
「こんなに絶望しながら生きていて何が楽しいんだろうか?むしろ私がおかしいのだろうか?」
と思ったほどです。私には「辛い、疲れた、楽しくない」という周りの人の気持ちがまったくわからなかったのです。
それなのに、どうしたことか結婚した私の夫はネガティブな人間。磁石のようにポジティブとネガティブが引き合うものなのでしょうか。
自分はとにかくついていない人間だ、というようなことを常に口にしていました。私から見ても確かについていなくて(苦笑)、どうしてここまでついていないんだろう?と疑問に思い、私のせいかも?と自分を責めてしまったほどです。
はたから見たら、夫はついていない人間ではなかったと思いますし、ネガティブな人間には見えなかったと思います。完璧主義者で仕事に関しては実力もありました。自信に溢れて見えるその内側で、ネガティブな気持ちがうごめいていました。軽い気持ちだったのかもしれませんが、よく
「C’est pas facile la vie(人生ってそう簡単にはいかない。難しいね、という意味)」
と言っていて口癖とも言えるほど。私は
「そういうことは口に出してはいけない。口に出すと実際にそうなってしまうから。人生なんて難しいもんじゃない。難しいって考えるから難しくなるんだよ。疲れた、とかも良くない。確かに愚痴を言いたいときもあるだろうけど、そこはポジティブに考えないと!」
と夫に常々言っていましたが、
「君にはわからないよ」
の一言で終了。息抜きのために家ではネガティブな発言をしていたのかもしれませんが、発したネガティブな言葉は耳を通して自分に返ってきます。
病気が発覚して、抗がん剤が効いてガンが半減した時の夫。大喜びしていた私を尻目に
「僕は喜ばない。ぬか喜びはしたくない。この後、最悪な結果がくるかもしれないし」
確かに、最悪を想定していると後々落胆しなくて済みます。それでもあの時は心の底から一緒に喜びたかったし、最悪なことなんて考えて欲しくなかった、と私は思っていました。でも、人の思考回路ってそう簡単には変えられません。
「自分はついていない。疲れた。辛い。」
このせいだけで夫がガンになったとは思えませんし、そのせいにしたくはありませんが、少しでもポジティブな言葉を使うように心がけていてくれたら、未来は変わっていたのではないかな?と思うと、それもまた自分の責任のような気がしてなりません。
「君みたいに生きられたら楽なのに」
と言っていた夫の言葉が今でも頭に焼き付いています。
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