私もここまで出来ればな・・・
先日、別ブログのマイページにガン闘病中のブログが何個か出て来て(勝手に出てくる)、何気なく読んでみました。ふと、
夫の闘病時代に見ていた同じ舌癌だった人のブログ、どうなっているんだろう?
と思って見てみたら、何名かはそれなりにお元気に暮らしているようでしたが、何名かは更新がなく。。。舌癌ってイメージ的に早期発見なら治りやすいと思われがちですが、悪性度が強い場合はそんなことないんですよね。
それで、どうしてそこに行ったかは覚えていないのですが、日経ビジネスでこんな連載にいきつきました。
仲良しカップルのアキオさんとクリコさん。幸せなある日、アキオさんが肺がん、その後に口腔底ガンを患ったお話です。
ご主人は残念ながら助からなかったのですが、口腔底ガンの手術後に料理研究家でもあるクリコさんが、アキオさんのためにと一生懸命流動食を手作りなさっていました。そのレシピが本当にすごいのです。
私の夫も、舌を切って喉もざっくり切られ、手術後しばらくは鼻からの流動食が続き、それが取れたあともミキサーで砕いたものを数日食べていました。
でも、その時は夫自身の体調は悪くなかったため夫が自分で好きなものを作っていたのです。私も息子のことを言い訳に夫任せにしていました。
あの時、どうしてもっと夫のことを思って調べて作ってあげられなかったのだろう?と読みながら後悔(だったら読まなければいいのに読み進めてしまいました)。
アキオさんの場合は咀嚼に問題があって、嚥下(飲み込む力)には問題がなかったのですが、夫の場合は舌が半分ないことと、放射線治療で喉がやられて唾液の分泌が悪かったため、逆に嚥下に問題がありました。そのため、舌の痛みが引いてからは流動食ではなく普通に食べられたので、あまり工夫しようという気もなかったのかもしれません(忙しさにかまけて)。
ただ、肉類やパサパサしたものは飲み込めなくて大変、かつ舌のせいで味覚が遠のいており(濃い味付けでないと味がしない)、肉類にはソースが無いとダメ、そのソースもとろみをつけないとダメ、味が薄すぎてもダメ、と大変でした。かといって、うどんのような汁物も飲み込みにくいのだそう。
それに加えて、当時は
「ガンには肉類がダメだから、なるべく野菜を中心として・・・」
なんてことが頭にあったため、食事を作っては夫に怒られることが多々ありました。とにかく夫が喜ぶようなものを作ればよかったのに、牛肉や豚肉は控えないと!ってアホなことを考えていたものです。食べられるうちに好きなものを食べさせておけば良かった。本当に後悔しています。
この連載には、美味しそうなレシピも載っています。連載が始まったのが夫が亡くなった月なので、その時に見つけていても遅かったわけですが、もう少し早ければ、夫に不満を与えずに美味しいご飯を作ってあげられたのかもしれない・・・なんて思うわけです。
料理が大好きで美味しいものを極めていた夫。こんな妻でごめんなさい、と3年目になっても思うのです。
最後の3ヶ月、ずっと鼻からの流動食だった夫。お腹を満たすだけの、美味しさも分からないもの。これだけでQOLがどれだけ下がっていたか。。。(この時は喉の腫瘍が大きくなって口からの流動食が無理だったので仕方ないのですが)。それでも、調子の良い日を見計らって、夫の両親宅でトマトソースのパスタをミキサーで撹拌して少し食べられた時の夫の嬉しそうな様子を、今でも昨日のことのように思い出します。
夫に作ってあげた最後の料理って一体何だったのかな。。。死別してからずーっと考えているのですが、まったく思い出せません。。。
最後に、連載から一部分を抜粋(https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/102500028/020200009/ アキオさんの最期の記事です)
亡くなる前、アキオはじっとわたしの目を見て「僕が死んだら、僕がどれだけ君を愛していたかがわかるよ」と、いつになく真剣な面持ちで言った。その時、わたしは「そんなこと、今この瞬間だってわかってる。わたしがわかっていないと思ってるの?」と戸惑い、何も言えなかった。でも、今ならわかる。アキオの不在がもたらした欠落感は、わたしにとって人生最大のピンチだったからだ。惜しみない愛情に包まれていた日々を思うたび、アキオの愛の深さ、大きさを強く感じている。
私も、夫の惜しみない愛情に包まれて甘えていた日々を想うこと、多々あります。夫が与えてくれた愛は、普通の人が何十年もかけて与えてくれる量だったんじゃないかって。それにひきかえ、私はきちんと夫に愛を与えられていたのだろうか。。。
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