ごめんなさい

夫へ。

あなたが私を必要とする時に、子育てや仕事を言い訳に向き合わなくてごめんなさい。

あなたが痛みでイライラしている時に、優しくなれなくてごめんなさい。

あなたがネガティヴになったとき、「きっと、もっと大変な人だっているよ!」と、見当違いな、そして突き放すような発言をしてごめんなさい。

あなたが好むような美味しいご飯をいつも作れなくてごめんなさい。

家事と仕事、子育てを要領よくこなせなくて、不快にさせてごめんなさい。

 

私があなたを必要とする時は、いつでもどこからでも駆けつけてきてくれたあなたなのに、私はどうしてあなたに同じことができなかったのだろう、と後悔しています。どうして私はこんなに愚かなのでしょうか。残された、限られた時間を「まだ先のこと」と勘違いしていたのです。真剣に考えれば、そう長くないことだってわかっていたはずなのに、現実を見つめられなかった私は弱い人間です。

あなたはきっと医師から言われていたはず。この先長くないということを。それを自分の親と兄弟はもちろん、私にも言わずに一人で抱えて亡くなっていったことを考えると、そうさせてしまったのは私のせいだとしか思えません。

私が優しくなかったから。あなたの気持ちにまったく寄り添えていなかったから、あなたは私に落胆したのでしょう。そしてどんどん心を閉ざしてしまった。

あなたが必要だったのは「がん細胞が減る○○」みたいなものではなく、私と息子だった。でも私はあなたの気持ちが読めなくて、必死になって何がいいか探していた。あなたが欲しかったのは、何万円もする薬でもお茶でもなく、私だった。

あなたがいないことがこんなに辛いとわかっていたのなら、5分でも10分でも、ただ隣にいて手を握ってあげるべきでした。自分だけが大変と思っていたのは、あなたではなく私です。本当に本当に本当にごめんなさい。許してとは言いません。でもきっとあなたのことだから、優しい笑顔で「大丈夫だから、もう泣かないで。」って言ってくれるんだろうな。

私が泣いたって後悔したって、あなたは戻ってこられないし、何も変わらない。月日が経つととともに哀しみは癒えるどころか深くなる一方です。

もうすぐ、初めての手術から2年が経ちます。夏が終わって秋の後には1周忌。あなたが一年で一番好きだったクリスマス。大人なのにワクワクするあなたを見て微笑んでいた、そんな幸せな日々はもう戻ってきません。肌を突き刺す寒さと、ショーウィンドウのクリスマスデコレーションを見て一年前を思い出す、嫌な季節になりそうです。

 

 

 

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