忘れたいのに忘れられない話

今日は珍しく朝から雨でした。
午後からは少し晴れて、外でストレス発散したそうだった息子を夫の兄に預けて外出してもらいました。

話は前後して、息子が出かける前の話。
何の話をしていた時か忘れましたが、息子が突然

「忘れたいのに忘れられないことがあるんだよね・・・」

と意味有り気に切り出しました。

「何それ?良いこと?悪いこと??」

と聞く私に、

「うーん、良いこととか悪いこととかじゃないんだけど・・・」

と。

「この前ママに怒られて泣いたこと?」

「ううん、そうじゃなくてもっと前の話。」

「この前の前に日本に帰っていた時の話?」

「もっともっと前。」

「もしかして、パパが死んじゃう時に4日間預けられていた時の話?」

「うん、そう!忘れたいのに、忘れられないの・・・」

***

話を聞くと、少し前(3歳くらい)のように詳細までは覚えていないようなのですが、とにかく私に置いていかれて寂しくて泣いていた、という記憶がハッキリではないものの、心の傷のようにトラウマとして残っているみたいです。

当時はフランス語もほとんど分からない状況でフランス語環境に投げ込んだようなものだったので辛かったのでしょう。

そういえば、その時(泣くなった日の夜と翌日)も雨だったことを思い出しました。もしかしたら、天気で思い出してしまったのかもしれません。

「そのことを思い出しちゃうと悲しくなっちゃうのー」

と言う息子の顔は泣き顔・・・。

「どうしてママは置いていっちゃったのー!」

(また昔繰り返していた質問と答えの繰り返し)

***

4歳半過ぎてもまだ覚えていたとは、母親の私も驚きです。普通、2歳前の記憶は周りの家族から言われたことを自分の記憶としてすり替えている、と言われるようですが、息子の場合は私や夫の家族に聞いて覚えた後からの記憶ではなく、絶対に息子が頭の片隅で記憶している思い出です。

というのも、この(一番上の兄夫婦宅に4日間預けた)話は、息子が私だけにする話で、私からは息子に話しませんし、夫の家族はまったくしません。 相当ショックだったのでしょうね・・・息子に可哀想なことをしたとは思いますが、それ以外に方法が無かったので仕方ないです。

私も寒い季節になるたび、あの日のことを思い出すように、息子も寒くて雨の降る日はあの日のことを思い出すのでしょう。

「もうママはいなくならないからね。あの時、パパはママに会いたかったの。あの時会っていなかったら、もう二度と生きているパパと会えなかったから。もちろんパパは**(息子)にも会いたかったけれど、小さかったから少しの時間しか会えなかったの。」

と話して抱きしめました。

パパを亡くした悲しさではないけれど、置き去りにされた悲しみ(トラウマ)を抱えながら生きているのか・・・と思うと悲しいですが、感受性豊かで記憶力が良い息子は、この悲しい思い出とともに成長して、いつか忘れるか良い思い出(置いていかれたけどパパのためだった、と納得する)になるといいなと思います。  

 

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