幡野広志さんと夫の誕生日

先日、夫の誕生日だったことを書きましたが、その時に過去のブログを読んでまた気分が沈みました。。。

以前にも書きましたが、死別のショックからか、過去の思い出が断片的にしか思い出せず、闘病中のことくらいしかハッキリ覚えていないと思っていました。でも、自分のブログを読み返したことで、闘病中のことですら覚えているつもりで覚えていなかった事実を突きつけられました。

夫と死別して2年8ヶ月と少し。こんなに記憶が薄くなっているなんて。もちろん、読み返せば

「確かにそんなことがあった!」

と思い出せるんですけど。

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闘病中は初期から痛みがあって、夫の神経がピリピリしていて険悪な雰囲気が家の中に漂っていたことは覚えています。それでもどんなことがあったのか、具体的に覚えていないことも多くて。それを読み返して、ジワジワと心の中に芽生えてくる自分への罪悪感。

「この時点で、この先数ヶ月しか生きられなかった夫に、どうして私は心優しく接することができなかったのだろう・・・」

今思っても仕方のないことですし、闘病中も常にそう思うようにして(いつ亡くなっても後悔しないように接したいって)いたはずなのに。

私たち、出会ってから夫の病気が発覚するまで喧嘩も言い争いもしたことがありませんでした。本当に穏やかな関係だったのです。それが、闘病をきっかけに一気に変わってしまいました。それまでの不満をぶちまけたわけではないんです。お互いがいっぱいいっぱいで相手を思いやることができなくなっていたんでしょうね。。。

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そんなこんなで、本当に自己嫌悪に陥って気分が下がって夜眠れずに携帯でヤフーニュースを見ていたら、色々飛んで「幡野広志」さんという方を知ることになりました。

写真家で多発性骨髄腫という血液のガンになり、余命3年を宣告されたそうです。宣告から2年経っていると思うので、あと1年くらいなのでしょうか。幡野さんはご結婚されていて息子さんが一人いらっしゃいます。ガンのことをブログに書いてから、いろいろなメディアに登場しているそうですが、情報に疎い私はこの方を存じ上げませんでした。

この方の優しいけれど真っ直ぐな想いを読んで、他に書かれた文章がないか探していたところ、連載で「僕は癌になった。妻と子へのラブレター」というのを発見。 その中に、ご自身の誕生日のことについて書かれていました。

1年以上前の記事なのですが、私にとってはタイムリーなので拝見。以下、抜粋です。

 

僕の誕生日を迎えるときに君は何を想うのか、僕はちょっと心配です。 「来年もおめでとうって言えるかな? いつまでおめでとうって言えるかな?」ということを考えていませんか? 祝いたい気持ちと不安が混じった君からの「おめでとう。」という言葉が僕は嬉しくて、なによりのプレゼントです。少し複雑な「おめでとう。」が、僕たち家族の濃密な時間を表しているのだと思う。 いつか来るであろう僕の命日よりも、僕の誕生日を覚えていて欲しい。死んだ日の悲しい思い出なんて頭の片隅にしまっておけばいいよ。 命日に線香に火をつけて涙を流すよりも、誕生日にローソクに火をつけて笑ってくれる方が僕は嬉しい。

 

泣きました。 夫から「これを読みなさい」って言われているかのようで。

しかも、これだけではないのです。もう、どれを読んでも泣ける。

こんなこと言ったら君は怒るし悲しむかもしれないけど、病気で死ぬのが君じゃなくて僕でよかったと思います。 僕の体の調子は少しづつだけど日々悪くなっていて、苦しい日もあります。 この苦しさが君じゃなくて本当によかったと思う。自分の苦しさは耐えられても大切な人の苦しみは耐え難いものだから。

これは、実際に夫に言われた言葉。思い出しました。

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そのほか、クスッと笑ってしまうようなこともあったり、私はとにかくこの方の文章が好きです。文章も、音楽や映画と一緒で好き嫌いがあると思うのですが、よかったらみなさんもご覧ください。

https://ninaru-baby.net/tag/hatano-hiroshi

夫の誕生日のことで落ちた気分を少しだけ上げていただきました。本当に感謝です。幡野さんができるだけ長く奥さんと息子さんと幸せな時間を過ごせますように。  

 

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