偶然か必然か

*カテゴリーをどこに入れるか迷いましたが「不思議な出来事」にしておきます。

今までは、何か起こると

「すごい偶然だなー」

とだけ思っていましたが、夫を亡くしてからは

「これは偶然ではなく必然だったんだ。」

とか

「そうなるように仕向けられていたんだな」

と思うようになりました。

 

日本に行く前のことですが・・・お昼ご飯を食べた後に息子を幼稚園へ送った後、路面電車に乗って家に帰ろうとした時のことです。

空いていた車内。目の前の優先席に座っていたおばあさんが、私が座っていた2人席の隣に座ろうと近寄ってきました。ちなみに、優先席は横向きで、それ以外の席は進行方向(またはその逆)です。

私はすぐに降りられるようにと、いつも通路側に座る癖があるのですが、おばあさんは少しヨロヨロとしていたので、私が窓側へ行きおばあさんには通路側に座ってもらいました。するとおばあさんは、

「あなたはすごく親切ね。ありがとう」

と笑顔で言ってくれた後、

「あの席(優先席)だと景色が見えなくて、自分がどこにいるか分からないからこっちにしたのよ。降りる駅を間違えないようにしなくちゃ。」

と続けました。

「ここの方ではないのですか?どこへ行くのですか?」

と聞くと、

「違うんですよ。●●病院へ行くんです。一度車で行ったことはあるんですけど、公共交通機関では初めてで。」

と。実はその病院、夫が通っていた(亡くなった)病院なのです!

「あ、あそこですね。それなら■■駅で降りるといいですよ。私、時間があるので一緒に行きましょうか?」

と申し出ました。おばあさんからは丁寧に断られてしまいましたが、気になったので

「失礼ですが、旦那様でも入院されているんですか?」

と聞いたら、

「実は、一昨日孫娘が突然入院してしまったんです」

と。

30歳の孫娘がいて(孫娘には2人の幼子がいるとのこと)、母親(つまりおばあさんの娘)は幼子の面倒を見ているからお見舞いに行けず、おばあさんが行くことになったそうです。

「それは心配ですね・・・実は、私の夫もそこに入院していたんです。」

と、普通は話さない夫の話をしてしまいました。おばあさんの内側から出る優しさがそうさせたのかはわかりませんが。

「え、そうなんですか。今は元気になられたんですか?」

と聞かれたので、孫娘さんのことを思うとためらってしまいましたが、事情を話すと

「そんな!まだ若いでしょうに・・・」

と(もっと色々話をしたのですが省略)。

私が降りる駅に着いたのですが、ここまで話したのも何かの縁と思い、一緒に病院の駅まで行くことにしました。

実は、病院は駅からすぐではなく少し歩かないといけないのです。なので、そこも一緒に歩くことにしました。ただ、あまり近くまで行くと私も気分が悪くなるため、病院が見えるところまで行って引き返すことに。

別れ際、

「お元気で。孫娘さんが早く良くなることを祈っていますね」

と言って握手をしました。おばあさんからも

「つらいこともあるだろうけれど、息子さんのためにも頑張ってね。」

と励ましの言葉をいただきました。

70代半ば以上、もしかしたら80歳過ぎているかもしれないおばあさん。孫娘から頼まれたティーバッグを2箱手に持って病院へ向かう後ろ姿を見ながら、

「良いことをしたな、私!」

という自己満足ではなく、

「これはきっと、夫がこのおばあさんを病院まで連れて行ってあげてって私に頼んだに違いないな!」

と、夫の喜んでいる顔を思い嬉しくなりました(それも結局自己満足ですね。笑)。

 
 

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